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四言で綴る斜な日記。毎日更新する予定でした。
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 夢だから何でもできる。空を自由に飛んでみたり、家の壁をすり抜けて中に入ることもできる。もはや少しの不安もない。だって、夢なんだもの。
「なんであの時、俺の蹴りだけヒットしたんだろうな」
 言わないで。言わないで!
「都合良く忘れようとしていたのに、なんでまたそんな事言うのよ」
 ケンジとやらがとぼけて言った。
「忘れる? なんで」
「これが夢の中のはずだからよ!」
「ハル、夢じゃないよ。だってハルを見つけた時、私とケンジでお互いのホッペをつねってみたもん」
「めっちゃ強くつねるんだもんな。ちぎれるかと思ったぜ」
「夢よ。夢以外の何物でもない。そう、自室の布団の中でみている悪夢。他に何があるって言うのよ」
「いや、違うって。お前だって蹴り食らった時痛かったろ?」
 痛かったさ。痛かったよ。身悶えるくらいに。
「いいえ。往々にして夢の中の登場人物はもっともらしい事を言うものよ」
「いつも冷静なお前らしくないじゃねえか。現実から目を逸らすなよ」
 何故この人が私のいつもを知っているのか全く不可解で奇っ怪なのだが今は不問にしておく。
「なんで二人ともそんなに冷静なのよ! 幽霊みたいな私が突然現れて、逃げようともしなかったわけ!?」
「そりゃあ……アレだ。ほら、アレ」
「アレって何よ」
「エミ、頼んだ!」
「え!? え、えっとね、私たち、ついさっきまでハルと会っていたの」
「どういう事?」
「それはね、えーっと……あの後、二人で帰る途中に、ハルが道ばたで倒れているのを見つけたの」
「答えとしては不適なんじゃない?」
「とりあえず、聞いて」
 その話がどう繋がると?
 ケンジとエミが代わる代わる説明していった。
「んで、さすがにウズラ30個はマズかったかなぁと思って、ハルを叩き起こそうとしたんだが」
「いくら呼んでも返事が無くって」
「俺が4の時固めを食らわしたのに、一向に返事がないモンだから」
 その行為にいささか疑問が。
「すぐに救急車を呼んだの」
「初めてだったぜ。救急車に乗るなんてな」
「しばらくして、病院に着いたの。それで、いろいろ検査して……」
「ま、脈あったし。そんなにおおごとでも無いかなーとか思ってたんだが」
「おおごとだったの」
「おおごとだったな」
 口をそろえて言うほど?
「待合室で雑誌を読みながらハルを待ってたんだけど……」
「突然『この変態! どこ触る気よ!』って声が聞こえてきてさ」
「ハルの声だ、ってすぐに分かったわ」
「でさ、その後出てきたハルがまた……な」
「うん。すごかったね」
 勿体ぶってないでとっとと教えたらどうですか。
「診療室を飛び出したハルがこっちに走ってきて『ケンジ! エミ! ありがとねー、心配してきてくれたんだぁ!』って」
「数年来見ていない、とびっきりの笑顔で」
「……笑顔で」
 笑顔で……
「口調も違ったしなぁ」
「性格も違ったね……」
 ……人違いだろう。
「俺は直感したよ。こいつ、ボケに転向しやがったなって」
 違うだろ!!
「でも、ほんとに別人みたいだった」
「あの時の衝撃は……忘れようがないぜ」
「さばさばしてる、っていうか、垢抜けている、っていうか……」
「あれはあれで新鮮だったけどな」
 ……それで?
「それで、私たちはハルを元に戻そうと……」
「ハルの前でいろんなボケをかました」
 待て。何かが根本から間違っている。
「だけど……乗っかってくれなくて……」
 エミもやったのか。
「あまりに居た堪れなくなってきてな」
「逃げるようにして帰ったの」
「んで、歩きながら、今後の漫才について井戸端会議に花を咲かせていると……」
 漫才?
「私を見つけた、と」
「ご名答」
 ……どこからが嘘だ?
「で、その後蹴った理由は?」
「それはね、もしハルなら……」
「もしハルなら、何が起こってもまずツッコミを入れにくるだろうからな」
 それで飛び膝蹴りか。
「予想通りツッコミだった、と言うことで」
「正真正銘、本物のハルだ、って思ったの」
 私が幽霊になっていることに疑問はないのか。
「まあ、ちょっと透けてるけど関係ないし」
 大有りなんじゃないだろうか。しかも飛んでるし。
「いいじゃねえか。楽しそうだし、命に関わりそうなことでもないし」
 それは……確かにそうだが。
「ほら、説明している間に着いちまったよ」
 ケンジが指で示す方向を見ると、そこには割と大きな古めかしい一軒家が建っていた。
「ここ?」
 表札には『高村』と書かれていた。
「本名だったんだ」
 エミは感心しながら言った。どういう意味だ。
「実は俺も、中に入るのは初めてだったり……」
 不安だ。
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