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四言で綴る斜な日記。毎日更新する予定でした。
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 まるでもう一人、自分がいるかのような感覚。いつ何時現れるか分からない、不安定な自分を私は疎ましく思った。制御も出来ない。鬱陶しい。
「おい、根暗少女」
 コイツには縁の無い悩みなのだろうな。机に手をつくケンジに、気怠く返す。
「誰が根暗少女だって?」
「給食、取りに行かないのかよ」
 もうそんな時間か。
「並ぶのが嫌いなのよ。アンタは愚鈍に並んでなさい」
「まったく。そんなだから友達もろくに出来ないんだ」
「余計なお世話。私は孤独が好きなのよ」
「孤独、ねえ……ま、いいけど」
 ケンジは肩をすくめて列に並んだ。
「アイツのどこが良いんだか……理解に苦しむわ」
 エミはウザイの一言に尽きるケンジのどこに惹かれたのだろう。
「ハル、一緒に食べよ!」
 この子の思考回路を覗いてみたいな。
「大丈夫なの?」
「うん、大丈夫。軽い熱中症だそうだから」
 意外にも本当に大丈夫そうだ。これで少しは私の罪悪感も晴れると言うものだな。
「あれ? 給食持ってこないの?」
「夏バテかしらね。食欲が無いのよ」
 軽い嘘だ。食べる気がしないのは確かだけど。
「そんな時こそ食べなきゃダメだよ。ほら、体力つけなきゃ」
「エミに言われるとはね。私も末期かしら」
「もう、またそうやって捻くれるんだから」
 後ろでカタカタと食器のぶつかる音がした。
「ほら。優しいケンジ君が可哀想な捻くれ少女のために持ってきてやったぞ。大地に突っ伏して感謝しろ」
 盆に乗っかった給食が私の机に乗る。
「ん、気が利くじゃない。珍しく」
「人の親切は素直に受け取れ」
 碗状の食器の中にウズラのゆで卵が山のよう。
「どこが親切!?」
「大好物、だったよな」
「ええ! この世で最も疎ましき食べ物よ!」
「好き嫌いはダメだよ、ハル。卵はきっと栄養付くんだから」
「ほら、エミが推奨してるんだ。全部かっ込め」
「冗談!」
「じゃ、俺が取り押さえるから」
「私は口に卵を入れるわね」
「どこでそんな打ち合わせを!?」
 ケンジの執拗な猛攻とエミの矢継ぎ早な凶行にいささかの倦怠感を覚えながら、私は思った。
 なんだ。杞憂だったじゃないか。エミの悲しそうな顔、私の不可解な感情、全ては杞憂。何も気にすることは無い。いや、むしろ気にするべきはエミの恋路ではないか。気弱なエミは私がフォローしてやらなければ駄目だ。うん。こういう事には慣れていないが、応援くらいならできるだろう。
「今だ! エミ、卵を!」
「はい、口開けて」
「これは立派な犯罪よ! 私に何の恨みが……ふぐっ」
 喋っている途中に突っ込むのは反則だ。呼吸困難になってしまう。
「一個ずつじゃあ時間が掛かり過ぎないか? どうせなら」
「まとめて全部? それはちょっとハルが可哀そう」
「大丈夫だって。男か女か分からない風体してんだから」
 関係ないし余計なお世話だ!
「それもそうだね」
 納得しないの!
「じゃ、流し込みますー」
「こ、この非道! 少しはインターバルを……ふがっ」
 喋ってる途中はやめろ!
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