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四言で綴る斜な日記。毎日更新する予定でした。
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 清閑な廊下。三人だけの小さな世界に、パタパタと足音がこだまする。……二人分の。
「エミ……ごめんね。私のせいで……」
 出来得る限りの申し訳無さをこめて、エミに言った。
「まったくだな。エミが倒れるのも無理はないぜ」
 ケンジに言ったつもりはないが。
 私に振り回されてふらふらになったエミは、学校に着くやいなや失神して倒れてしまった。その後すぐに意識を取り戻したのは不幸中の幸いといったところか。
「私の方こそ。心配かけてごめんなさい」
 罪悪感で満ち満ちている私の心を察した言葉だったのだろう。が、無理して強がられると余計に申し訳無さが増す。
「そ、それよりもこれは……やっぱり、恥ずかしい」
 天地が逆転しようとも、私にだけはやらないだろう。確信できる。
「病人が何言ってんだ。素直に甘えとけよ」
 ケンジの背中にはエミが嬉しそうに乗っかっていた。まるでいとおしい物にほお擦りするかのように、まるで大切な物を抱きしめるかのように、 エミはその幸せそうな顔をケンジの肩に乗せていた。エミの心はすでに夢の中……
「チッ」
 ……私の口から出た?
「ん? どうした、ハル」
「……なんでもない」
 時々、自分で自分が解らなくなる。理解不能な嫌悪、憎悪。不意に私の心を支配し、不意に去ってゆく。今までも何度かあったが、今回のは……我を忘れるほど強力だった。
「んーと、保健室はどこだっけ?」
 エミは顔を離し、不思議そうに言った。
「知らずに歩いてたの?」
「仕方ないわ。バカだから」
「変な同情するな! で、どこだ?」
「三階の突き当たり。えっと、事務室横の階段を上がった方が早いわ」
 違う。中央階段を通った方が早い。エミが指した方は、むしろ遠回りだ。
「三階……遠く感じるな」
 エミ……
「ハ、ハル……? 顔が怖いよ?」
 う……またか。刹那の忘我。不愉快だ。
「気のせいじゃない? 至っていつも通りの顔よ」
 心配させまいと笑顔で返す。エミはまだ訝っているようだったが。
「眉間にしわが寄ってたぜ……そうか! 大を我慢して――」
「黙れケンジ」
「小だと言うのか?」
「消え失せろバカケンジ」
「ひっでえなぁ」
 セクハラ発言を躊躇無く発するケンジの背中で、エミがどこか遠い目をして呟いた。
「仲いいね……」
『ぜんぜん!』
 私とケンジは勢い良く否定した。
「ほら、息ぴったり」
『違う!』
 私とケンジが否定するたびに、エミの顔に物悲しさが募ってゆく……ような気がした。
「うらやましいな……」
『どこが!』
 エミは含みを乗せた笑顔で漏らす。
「……そこが」
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